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Channel: 上海-東京 マンション狂想曲
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タクシーと上海

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上海は2008年7月24日(木)、今日は久しぶりに5星の運転手に中った。
彼の対応が良く、気持ちのいい朝の出勤となった

2001年頃から上海のタクシー運転手は「0星から5星」の6段階でランク付けされている。助手席の目前に車内向け設置された4Aの1/3程度の大きさの「タクシー運転手番号プレート」の左下に「青い星の絵」で表示されている。
0~3星は運転経歴と運転技能で審査され、4星以上には英語での簡単な乗客受け答えが必要になる。
3星以上はプレート上の星の色が「赤い星」になり、別に「赤い3星プレート」を車外向けにフロントガラス上部等に設置する事もできる。勿論、3星以上の運転手は給料単価も高くなるそうだ。
上海には約8社のタクシー会社が合計約10万台の車両を運営しているが、5星の運転手は100名に満たないという。確率的には1000分の1以下なので、毎日タクシー通勤している私が、5星運転手に遭遇する確立は2年に1回程度という事だ。
過去に中った運転手の中には英語以外に丁寧な日本語で挨拶できるおじさんもいた。そういう場合は記念に彼らの名刺をもらっている。その名刺にも5星マークが印刷されていて、関心した。

現在上海市内には5社+3グループのタクシー会社があり、車体色で見分ける事ができる。その内5社「水色・白・緑・金色・紺色(海博社)」は大手のタクシー会社が運営しており、運転手への給料規定やサービス教育も存在しているので、外国人が利用しても問題は起こらない。私は日本人の渡航者にはこの車体色以外は絶対に乗らないようにアドバイスする。
他の3グループ「エンジ色、紺色(海博社以外)、赤」は外国人は絶対乗らない方がいい。これらの車体色のタクシーは個人タクシーの集合体であり、会社としてのサービス基準は存在せず、車体使用料以外の給料は出来高の為、違法行為をしてでも短時間で収入を増やしたい、日本語で言う「雲助タクシー」の集まりなのだ。
問題行為の実例を挙げると;
1) 出発地から目的地迄の最短距離を通らず、意図的に迂回し、タクシー利用料金を増やす。
(損害の価格帯例: 正当額: 20元→ 違法請求額: 40~50元)(注:1元=約15円)
!特にひどいと感じた例: 私が地方出身(上海語が話せない)の中国人社員と乗車した「エンジ色タクシー」では、中国人でも非上海人なら迂回され、2倍程度の請求がされた!

2) 空港等で近距離の乗客に対し乗車拒否し、長距離の顧客しか乗せない。
(損害の価格帯例: 拒否される額: 20~30元程度、 期待される額: 100~200元)
!特にひどいと感じた例: 私が上海人と虹橋空港から乗車した「エンジ色タクシー」では、タクシー乗り場では空港職員が管理していて乗車拒否が出来ないので、20m程走った後に運転手がハンドル根元にある電気系統の線1本をわざと外し「エンジンが不調で止まってしまったので、他のタクシーに乗り換えて欲しい」と下ろされた。勿論そのタクシーは数分後また空港乗車位置に戻り別の客を探しに行った!

3) 空港やリニアモーターカー降車駅(龍陽路站)等で、メーターを倒さず、最初に相対で金額を決め法外な金額を取る。
(損害の価格帯例: 正当額: 100元→ 違法請求額: 200~300元)
!特にひどいと感じた例: 日本から私の顧客(50台前半)が上海に来た際に、リニアモーターカー降車駅で拾った「紺色タクシー」でメーターを倒さずに約2倍の料金を請求され、領収書の代わりに「手書きの紙」をつかまされた。(勿論、予めエンジ色・紺色には絶対乗らないように言い含めてあったが、タクシー専用乗車列に並んだらたまたま紺色だったので拒否できなかったとか。彼は2回目にも同一場所で紺色に中ったので、3回目からは専用乗車列には並ばず、一般車道でタクシーを拾っている。(正解!)

4) 空港でタクシーの列に並ぶのを嫌がる外国人目当てに「白タク」で暴利を貪る。
(損害の価格帯例: 正当額: 150元→ 違法請求額: ~2000元)
!特にひどいと感じた例: 日本から妻の知人(60台後半)が上海に来た際に、浦東空港で白タクを選び5000元の請求額を2000元に値切ったと自慢していた。浦東空港から市内迄に正当額は150元程度だが、気の毒なので妻はそれを相手に告げなかったらしい(笑)

 これら違法行為に遭遇した場合にも対策はある。上海のタクシー領収書には、料金以外に「乗車時間・降車時間・走行距離・運転手番号・車体番号・会社名、等」の詳細情報が記録されている。この領収書を基に「違法行為撲滅の為の公式制度」を利用するのだ。

方法としては、領収書に印字された情報を「タクシー交通管理中心」に電話で通知すれば、タクシー運転手は罰せられる。3回通知されたらタクシー運転手ライセンスが取り消しになる。これらを逆利用して違法請求額を取り下げさせる事ができる。具体的手順としては;
1) 先ず「料金を払う前に、領収書(中国語では「発票」)を見せて欲しい」と告げる。 (この段階で、こちらの意図に気付いた運転手はソワソワしだす)
2) 次に中国語ができる同行者があれば、「この料金(または経路)は適切では無いので、初乗り料金分(11元)しか払う意思はない」と告げる。 (私の経験ではこの勧告に応じなかった運転手は未だ1人しかいない)
3) 運転手が応じれば、初乗り料金分だけを支払い、念の為領収書は持参する。 (すねに傷のある運転手は領収書の裏に手書きで、「実際には11元だけしか受領していない」という文字を書き足す場合もある)
4) 運転手が応じなくて、時間がある場合は、その場で公安局(日本の警察に相当)を呼んで事情を説明する。警察官は先ずは穏便に「乗車区間を聞いてその区間の正当な概算料金を想定し、運転手にその料金だけを徴収するように薦める」。ここまで来ても運転手が公安の妥協案に応じない例を私は知らない)
5) 運転手が応じなくて、時間が無い場合は、その場は相手の言い値で支払い、領収書を必ず保持する。後で公安に電話し「タクシー交通管理中心」に訴える。差額料金は返って来ない可能性があるが、違法行為撲滅に「してやった」という達成感は得られる、はずだ。(笑)
兎に角、領収書が無いと話の進め様が無いので「メーターを倒さない運転手や白タク」相手では対処できない。よって、そのようなタクシーには絶対乗らない事しか方法は無い。

上海で雨の日の夕食時は特に注意が必要だ。通常でも17~19時は帰宅ラッシュ時でタクシーはなかなか捕まらない。まして雨天となると22時頃迄タクシーは捕まらない。理由は一般市民が簡単にタクシーを選ぶからだ。地下鉄の初乗り=3元に対し、タクシーの初乗り料金=11元は約3.6倍。東京の地下鉄160円を基に試算すると580円相当となり、お手軽価格だ。バブル経済絶好調の現在ならば尚の事かも知れない。
因みに、私は最長記録では、日本からの来客と夕食後、21時から約1.5時間タクシーを待った事がある。結局乗れずに、バスで彼のホテル近くまで行く事になった。二人とも雨の中1.5時間が余り気にならなかったのは適度に酔っていたのだろう(笑)

 思えば1989年に初めて上海に来た時、招聘会社からあてがわれたガイド(つまり監視役)の大卒青年(20台前半)が言っていた、「上海で最も人気のある職業はタクシー運転手」だった。
理由は;
1) 当時自家用車の個人所有(*2)は法的に認められておらず、車台数が少なく道に渋滞は無いので、運転は超楽。
2) 車を運転するという行為は一般市民には羨望の的だった。
3) 現金収入が低く市民は殆どタクシーに乗らない。乗るのは外国人主体で「兌換券(*2)」でもらった料金を闇両替に出せば10倍程度になり、タクシー運転手の実収入は大学教授の給料よりはるかに高かった。
*1: 2004年に上海では自家用車の個人所有が許可され、現在の大渋滞時代到来となった。それまでは自家用車はタクシーか社用車のみ。
*2: 1993年末迄、中国には「人民元と兌換券」という2種類の通貨があり、外貨と交換できるのは兌換券のみだった。よって人民元しか持たない一般市民は外貨でしか換えない高級輸入商品を手に入れる事はできなかった。また外貨を持込む外国人は兌換券のみを使用し、兌換券だけは余った場合は逆両替できた。

さて、タクシー領収書にはもうひとつ重要な効果があるので、違法行為がなくても受け取る事をお勧めしている。それは忘れ物をした場合だ。領収書があれば「会社名・運転手・車体番号・乗車時間、等」が分かるので、各社のカスタマーセンターに電話をすれば、瞬時に該当車体を特定し、携帯電話等で忘れ物の確保を実行してもらえる可能性がある。実際に私の知人で置き忘れたブリーフケースを発見でき、重要書類紛失を回避できた人もいる。問題は携帯電話・等の小物の場合、次に乗車した客が第一発見者となり持ち去る場合があるので、残念ながら運転手に通知する前に無くなっている事もある。何れにせよ、先ずは領収書を受け取り、降車後に忘れ物等が無ければ、その後捨てればいいのだ。

ドライバーだけではなく、他の人間も加わった「組織的な違法行為」も経験した。06年11月頃に海外から浦東空港に戻ってタクシー乗り場の行列に並んでいると、「紺色の上下スーツを着た、いかにも空港職員風の30才前後の女性」が英語で話しかけて来て、「タクシーならば2階に行け」と言う。2階は到着ロビーで正規のタクシー乗り場は無く、後で聞いたら白タクの溜まり場になっていたようだ。その女性の「空港職員風の名刺大ネームプレート」が裏表逆になっていたのが気になり、「あなたは何の仕事ですか?」と聞き返した。彼女は無言で立ち去り、我々の次に歩いて来た欧米人に英語で話しかけていた。欧米人達は(関係者の親切な指示に従い、行列の多い1階を避け?)2階に向かって戻って行った。
上海の白タクで刃傷沙汰は聞かないので、あの欧米人達も今回学習の後は、次からは気付くのだろう。

但し、唯一この雲助タクシーにもメリットがある。どうしても急いで移動が必要な時に、これら「エンジ色」車体を敢て選び、「大急ぎで」と依頼すると、意外な程時間短縮ができる場合がある。
その理由は、彼らは「強引な割り込み、強引な車線変更、信号無視、路肩走行、スピード違反、等」の超高度技能を駆使する事を誇りとしているからだ。もっとも、心臓の弱い人や乗り物酔いをする人にはお勧めできない。
私の知人で元プロのトラック運転手だった男が「上海市内から空港迄、通常60分の高速道路を40分で着いたお陰で、飛行機に間に合った。本当に冷や汗が出て、こんなに怖い運転は人生で初めてだった」と興奮しながら言っていた。勿論、エンジ色車体だった。
私は彼らのアクロバティックな運転技術は大いに尊敬するが、精神衛生上良くないので、絶対に乗らないようにしている(笑)

この頃、販売キャンペーン活動をしたがらなくなった受託販売最大手のA社は「価格を下げる主張」ばかりするので、契約解除を言い渡した。他方、中堅の他数社は地道なネットワークでの販売活動を続けている。

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